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〒452-0832
名古屋市西区平出町87
TEL.052-505-7201
FAX.052-505-7204 |
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ある晩のこと、車イスのおじいさんが、「人間、自分が思い通りに動けなくなるとどうなるかわかるか?」と話しかけてきた。返事に困っている私の様子をみて、後を続けた。
「“気”がなくなるんだよ。“気”が・・・元気・やる気・根気・気配り、そして短気になるんだよ!わかるか?」厳しい表情で問いかけられる。
「まあ、なってみんとわからんと思うけど・・・」と見ていたテレビの方へ顔を向ける。
「今はなくなった“気”をわけてもらわな何もできん」私はただただ頷くだけだった。
「いつかは若い人も年をとって、わしらと同じようになるんだから、同じ道を歩いていくんだから、わしをよう見ておけよ・・・」その後に続く言葉はよく聞き取れなかったが、「死ぬまで勉強なんだぞ」と言っているようだった。
「人は“間”を持って初めて人間になるんだ“間”のないやつは、間抜けだ。ただのヒトだ。」彼はボソッとつぶやいた。
「“間”を持ち続けろよ。みんなすぐに忘れる。人は忘れる生き物だからな。だから勉強するんだよ。」しばらく沈黙が続き「酔狂の独り言だから気にするな」そして片手に持っていた日本酒をひと飲みし、『お前も飲めよ』といわんばかりにお酒を手渡してくれた。その表情はとても穏やかだった。
介護職員の役割は何だ?ただ介護していればいいのか?そんな問いかけを彼はしてくれていた。住人さん、利用者さんから教えられることは山ほどある。たとえ認知症があったとしても、それは変わらない。
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