『「ありがとう」が絆を深める』
私が平田豊生苑に就職して1年が立ちました。住人さんと過ごす毎日は笑いが絶えず、その笑顔に支えられながら働いています。
先日とても嬉しい事がありました。4月に入所された笑顔が素敵で肌が白くとても美人な住人さん(Mさん)。この方は失語症で全てうなずかれるため最初はコミュニケーションをとることが難しく中々気持ちを理解することができませんでした。その中でも私はMさんの声が聴きたくて聴きたくて、まずは挨拶からとゆっくり口を見てもらいながら発語を促しました。最初は「・・・み」少しずつ「・・すみ」そして、初めて「おやすみ」と言ってくださった時の感動を忘れません。その後、挨拶だけでなく、「1、2・・・」や「ありがとう」などほんの少しずつですが言葉がでるようになってきました。
このことを家族に伝えると、「本当ですか?私はこの10年間一度も義母の声を聞いたことがないんですよ。ありがとうなんて一度も・・・」と、とても驚いてみえました。
その後、Mさんは体調を崩し入院することになり、家族の方がMさんに「早く元気になろうね。がんばってね。」と言うと、Mさんは、自ら酸素マスクを取り、「ありが・・」とおっしゃられたそうです。この事を伝えてくださったときの家族の笑顔と感謝の言葉で私もとてもうれしくなりました。このMさんの「ありがとう」の一言はとても重く、家族の心に染み渡り、より一層絆が深まったと思います。
私は、介護という仕事は住人さんの身体介護や生活のお世話をさせていただくだけではないということを学びました。住人さんとその家族との絆を深めるお手伝いがこれからもできたらなと思います。
(広報『和進』より抜粋)
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