『夫婦』
10数年以上も前ですが、テレビコマーシャルで印象に残っているものがあります。元気な老夫婦がはれた空の下、手をつないでニコニコ笑顔で歩いている台所洗剤のコマーシャルです。
平田豊生苑にご夫婦で生活されている方が何組かいらっしゃいますが、とあるご夫婦の奥様の食事介助をしていると、向かいで先に食事を終えただんな様が私に「よろしくお願いします」と頭を下げて席を立ちました。その時にふとそのコマーシャルを思い出しました。
また、あるご夫婦の奥様は認知症のためにだんな様のことを認識できていないようえしたが、だんな様をお連れして一緒におやつを食べて過ごした所、その奥様が目に涙を浮かべながら「よくしていただいてどうもありがとう」とお礼を言われました。普段はそのようなことをおっしゃられる方ではなく、職員は「何か感じるものがあったのだね」と言っていました。
散歩から帰ってきてお茶を飲みながら「どこにも行ってない」、毎日会っている職員のことを「今日初めて会った」。それでも長年連れ添った相手のことは、認識はできなくても何かを感じとっている姿を見て、夫婦っていいな、素敵だなと思います。家族の絆、夫婦の絆はたとえ認知症となり表面上は忘れられた存在になったとしても、赤い糸はしっかりと結ばれているのでしょう。
(広報『和進』より抜粋)
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